絶対値のゆくえ







「やっぱり彼氏いた方が、お互い励ましあって頑張れるんじゃね?」



「いやいや、絶対それ無理! たまには息抜きしようって時々遊んだりしてさ、結果どっちかが落ちたらマジ気まずいじゃんー」



「でも最近、勉強ばっかだし、ちょっとは癒しが欲しいよ~」



「はーん、愛があれば高校合格できるってかー!? そんな世の中まじくそスイーツ!」



この時期の体育の授業は、いい気分転換になりつつある。


私はバスケの準備をしながら、友達2人の議論を半笑いで聞いていた、が。



「いずたそはさー、よっくんと付き合わないの?」


と、突然話題を振られ、ドキッとしてしまう。



「付き合うも何も、別に何もないって! もちろん、よっくんの勉強の邪魔もしたくないし……」



私は少し顔を熱くさせながら、

体育館の奥、男子たちのバスケ風景に目を向けた。



運動神経抜群の君は日ごろの勉強のストレスを吐き出すように、軽やかにドリブルをかまし、シュートを決めていた。



プレイ中の姿はもちろん、


嬉しそうな顔で仲間とハイタッチをする姿にも見とれてしまう。



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