アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜
「なんで居るんですか」
「なんで、俺じゃなくて、洋人に頼む」

「貴方だったら、絶対、教えないだろうと思うからです」
と言うと、桜田は溜息をつき、

「まあ、そうだな」
と言った。

「俺の方がお前に対する愛情が深いからな。
 洋人はただ、あいつに気に入られたくて、お前を可愛がっているだけだ。

 また、年が近すぎるから、さっきみたいに、お前に手を握られたりすると、ちょっと舞い上がって引き受けてしまったりもする」
と言う桜田に見てたのか、と思った。

 インターフォンもあるが、覗き穴も此処にはあるからだ。

 しかし、気配の殺し方はさすがだな、と思っていた。

 あの洋人が気づかなかったようだから。

 まあ、洋人のことだから、気づかないふりをしていただけかもしれないが。

「今回の件は大丈夫だろうが、お前、洋人にあんまり危ない橋を渡らせるなよ。
 あいつは、元々は歓楽街でくすぶってた情報屋だが、あんなでも、あいつにも親も居るんだ」

 あんなでもってな……。
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