この気持ちの伝え方
──"アイツ"と話さなくなったのは中二の夏休みからだった。
それまで私たちは仲がとても良く、「いつになったら、つき合うの?」と言われることが日常茶飯事だった。
告白の機会はいくつかあったものの「すき」の二文字はどうしても言えなかった。
そんな時だった。夏休み、私の家で2人で勉強会をしていた私たちは当然勉強などする訳もなく、喋ったり、ゲームをしたりして遊んでいた。
そしてふざけて遊んでいるうちに転び、龍也が私の上に覆い被さるようになってしまった。いわゆる床ドンだ。
気まづい空気の中、最初に言葉を発したのは龍也だった。 『好きだ』
嬉しかった。人生で一番と言っていいほどに。
でも心と裏腹に私の口から出たのは「どいて」という冷たい言葉だった。
なんでそんなことを言ってしまったのだろうとすごく後悔したが、その後悔は遅すぎた。龍也は既に部屋から出て行ってしまったのだ。「ごめん」という言葉と私を残して。
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