不機嫌な恋なら、先生と

撮影スタジオで先生に


編集部に電話をすると、編集長から一括された。

「急にあんなことされたら、こっちがどう動いていいかわかんないでしょ。何回も電話しているのに、出ないし」

「すみません」と、平謝りしつつ、花愛ちゃんが来ることになったことを伝えると、「わかった。んじゃ予定通りね」と、あっさり電話が切れた。

たぶん、顔を見たらもう一度、言われるに違いない。

案の定、戻るとヒカリさんにも怒られたけど、準備をしなければいけないのもあって、慌ただしく撮影スタジオに向かった。言い足りなさそうな顔をしていたけど、先生もいたからか、移動中は何も言ってこなかった。

到着し、カメラマン達とコンセプトやイメージを伝え合って、撮影の最終確認を行う。

それが終わった頃、花愛ちゃんは予定した通りの時間に来てくれた。

少し不安そうな顔をしていたけど、ヒカリさんを始め、撮影スタッフにひたすら頭を下げる。

周りのスタッフは気にもしてない様子だったけど、メイクアップアーティストのKAMAさんは企画が変更されるという旨を聞いていたのに、また撮影をすることになったと、話が二転三転したことに大分ご立腹だった。

写真で見た通り、顔はおじさん。顎髭を蓄え、男性ホルモンむんむん。でも肌はなぜかつやつやだ。

黒いハットに小花柄のシャツを着て、一見いかつい男性にしか見えないけど、「振り回されそうになったこっちの身にもなりなさいよ」と、仁王立ちで睨むその喋り方は一般女性より、女の子らしい。
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