不機嫌な恋なら、先生と
まどか
デスクで先生の原稿を確認しているけど、内容が頭に入らなかった。
どうして、このタイミングで先生に不倫なんてテーマで書いてもらったんだろう。
タイトルさえもいつだかの掲示板で見た『匂坂は秘密の恋をしている』に見えてきて、どうでもいいことまで恨めしくなる。本当にどうしようもない。
ダメだ。先生の彼女にも編集者にもなれてない。最悪だ。
あの喧嘩のあと、先生からは連絡がなかった。一人にさせてと言ったのは、私だし、あれが決定打となって、先生の中で別れたことになってもおかしくない。
だけど、先生だって、本当のことを話さないのも悪いし、隠し事があるのは、やっぱり許せない。
ダメだ。同じ言葉が頭の中を延々とループする。とりあえず、頭を冷やしてこよう。
一息いれながら、コンビニでお昼を探した。おにぎりとサンドイッチを手に取る。忙しいと片手で食べれるものをついつい選んでしまう。
お会計をすませると、隣のレジの前にいた女性と目があった。向こうも私に気がついて、会釈をした。