イブにあいましょう
私にとって料理とは、母やお手伝いさんが作ってくれるものであり、自分で作るものじゃない。
料理だけじゃなくて、掃除や洗濯だって、自分ですることじゃなかった。
でも、母やお手伝いさんがいないここでは、私が家事をしなければならない。
だから大学に通って、必死に家事をやってはみるけど、気がついたら夜になってる。
家は汚く、料理は不味く、何をやっても上手くいかない。
ひとり暮らしが長い紀章さんは、私よりも家事ができるけど、彼は夜勤もある不規則で忙しい仕事をしている。
おまけに、何でもかんでも思いつくままパッパと買うから、紀章さんに渡されたお金以上の額を、1ヶ月以内に使いきってしまう。

今までは、手持ちのお金がなくなれば、お父さんにレスキュー頼めば良かったけど、半ば強引に家を出て結婚した身だから、おいそれと頼むことも気が引けて・・・最後の手段としてキャッシングに走る。

そうして少しずつ借金が増えていき・・・自分で支払う能力がない私は、お父さんに泣きついて、借金を精算してもらった。
そしてお父さんは、紀章さんに「娘が迷惑をかけた慰謝料」を払い、私たちの結婚生活は、8ヶ月で幕を閉じた。

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