恋愛図書館
10月

「おっ!
いい秋晴れだねぇ、気持ちがいいなぁ。

そう言えばお前が来てから、1年過ぎたんじゃないか?

よく働くし、勉強熱心だし、当たりくじ引いたよなぁ…」

働いてるイタリアンレストランの店長が、しみじみ呟く。


イタリアンレストランといっても、カジュアルな創作イタリアンで…
複数の飲食店をグループ展開する会社が経営してた。


「当たりくじって…
賭けで採用したんですか?」


「いやいやっ、予想以上って意味だよ。
雇ったのはお前の前向きな姿勢に惹かれてな!」


前向きな姿勢、か…

だけどそれは、結歌からもらったものだった。









「今日は就活しないの?」


「ん、結歌休みだし…

それに就活しても、どこにも相手なんかされないし。
もう日雇いとかでいっかなって」


高校時代、バイトはして来た。
だけど卒業してから、ホスト以外で働いた事ない俺は…
正社員としては、ことごとく相手にされなかった。

だけどもうホストも辞めたし…
貯金はそれなりにあるとはいえ、いつまでも無職でいる訳にもいかず、諦めてた。
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