クールな社長の甘く危険な独占愛

心を決めると、何も考えなくてすむ。
これからどんな風に、あの人と暮らすのかとか、どんな人生を送るのかとか。
何も思い描けないけれど、でもきっとこれでよかったんだ。

『荷物をまとめるのを、手伝おうか』という昌隆に首を振り、一人マンションへと帰る。社長は会社から人をよこすといったけれど、さつきは断った。知らない人に自分の荷物を見られるのに抵抗があるし……なんとなく、一人になりたかった。

リカには謝罪のメールを打った。申し訳ない気持ちになったが、ずるずると仕事を続けることはできない。何より社長の顔を見て過ごすのは、もうキッパリと辞めたかった。

『本当に、辞めちゃうんですか? 寂しいです』
『ごめんなさいね』

メールでの短いやり取り。彼女ならきっと、これからも秘書室でうまくやれる。

バッグに荷物を詰めて、ゴミを片付ける。引っ越しの手続きはもう少し落ち着いてから。いまは、なぜか、すぐにでも東京から離れたい。社長のところから、ずっとずっと遠くに。

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