クールな社長の甘く危険な独占愛


武則と一緒にいるときの、さつきの顔がむかつく。
頬を染めて、まるで憧れているみたいな表情で、武則を見上げていた。俺の前では、そんな顔をしないくせに。いつもなんだか不服そうで、怒っていて、キスすれば応えるくせに『好きかわからない』とか言いやがって。

マジで、腹が立つ。

「で? 何しにきた?」
和茂はソファに座って、足を組んだ。目の前に座る武則は、静かな目をしている。

「長尾さんに、親父が失礼な態度をとったって聞いて、謝りに」
武則が言った。

「……タケが気にすることじゃないだろう? 本当は?」
和茂はメガネを取り、ガラステーブルに置いた。

「親父に、お前の結婚を急かされている」

和茂はそれを聞いて「なんだ、そんなこと」とつぶやいた。「適当にあしらっておいてくれよ」

「お前さあ」
武則の眉間にシワが寄る。

「いつもそうやって逃げるけど、これからどうするつもりなんだ?」
「どうもしないよ。このままいく」
「長尾さんを親父に紹介したら、次にどうなるかぐらい想像できるだろう」
「どうにもならないって」

武則は「長尾さんの身辺調査も始まってるんだぞ」と声を荒げた。
「彼女を巻き込んで、迷惑をかけるなよ」

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