クールな社長の甘く危険な独占愛

何杯飲んだかわからない。
とにかく自分の許容量をはるかに超える量を飲み干した。

ドキドキと脈打つ心臓が、悔しくてたまらない。
軽薄だけれど、超絶にいい男が、自分の頭を抱く。
仕事とはいえ、ときめいた自分が許せなかった。

深夜十二時を超える頃、タクシーに乗った。

まだまだ活気のある六本木のビル群を窓から眺めながら、さつきはアルコールでぼんやりする頭をなんとかしようと、何度か大きく息を吸った。

「社長、これで終わりですよね……」
「まあね」
「はあぁ」
さつきは疲れからため息をついた。

「信じらんない」
心の言葉が、ついつい口から出てきてしまう。

「信じられません。あんな風に、人前で、私に……」
「嫌だっていうから、紙ナプキンを間に入れたじゃないか」
「……それをとっさにやれる、なんていうか、慣れた感じが……信じられない、です」

両腕で頭を抱きながら、和茂は薄い紙を挟んだ。
それでも、しっとりとした暖かさが、さつきの唇に残っている。

「信じられません」
さつきは目を閉じ、口を尖らせた。

「俺も信じられない。キスを拒否られたの初めてだ」
「自慢ですか?」

さつきは投げやりな気持ちになっている。
もうどうだっていいような気がした。

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