クールな社長の甘く危険な独占愛
日広本社は、銀座と日比谷のちょうど中間あたりにある。大きくて、昔からあるビル。
さつきは戸惑っている。
社長がちっとも、ちゃらけた社長にならないのだ。
ずっと厳しい顔をして、腕を組んでいる。
最上階の社長室。
白を基調とした広いフロア。大きな花が飾られて、ゆったりとしたソファが壁際に置かれている。
二人はさっきから十分ほど、ここで待っているのだ。
「あの、社長」
「なんだ?」
「私は、どうしたらいいのでしょうか」
さつきが尋ねると、社長は初めてさつきに目をやる。
「普通にしてろ」
「それは、秘書としてでしょうか」
「いや、婚約者として」
やっぱりっ。
さつきの顔が思わず渋くなる。
社長はその顔を見て、気を緩めたように小さく笑った。
「親父が連れてこいって言うから」
「……そうですか」
どうしてこんなその場しのぎのことをするのだろう。
付き合っている人がいないのなら、そういえばいいのに。
「お待たせしました。こちらへどうぞ」
脚の細い綺麗な秘書に連れられて、重厚な扉の奥の社長室へと通された。