クールな社長の甘く危険な独占愛

「失敗したなら、永井専務の命はありませんね」
リカが冗談めかして言った。

でもそうなら、冗談抜きで、まずいことになる。

十分ほどたって、社長室の扉が開いた。
永井専務は、顔面蒼白だ。

続いて後ろから、厳しい顔の社長が出てきた。

「リビテックの鳥居部長に今日中のアポをとれ」
「かしこまりました」

リカがさっと電話を手に取る。

「永井、お前はすぐに新しいプランを用意しろ」
専務が小さく「はい」と答える。

「社長、先方は夕方五時以降なら大丈夫とのことですが」
リカが受話器を手に持ち、尋ねる。

「創エージェントカンパニーの後藤様とのお約束が入っておりますが」
さつきが口を挟んだ。

「重要性の違いもわからないのか?!」
突然、専務が怒鳴った。

「比べ物にならないんだよ、なんとかしろっ!」

さつきは思わず「申し訳ございません」と頭を下げる。

「永井」

冷たい声が響く。

秘書室がシンと静まりかえった。
パーテーション向こうの副社長付きの秘書たちも、息を潜めているのがわかる。

「篠山、五時に伺うと伝えてくれ」
「かしこまりました」

< 80 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop