クールな社長の甘く危険な独占愛


長い睫毛。くっきりした二重。黒目がちの瞳。鼻筋は通っていて、唇は薄い。
その顔が、真っ赤に染まった。

どうしても、あたまから離れない。
あのときの社長の慌てた様子が、繰り返し再生される。

「長尾さん、今日、メガネどうしたんですか?」
リカが顔を覗き込んだ。

「あ、壊れちゃって」
メガネを外すと、裸を見られているようで心もとない。

「そうなんですか。昨日は社長で、今日は長尾さん。んん〜?」
リカが含みを持った声を出した。

「踏まれちゃったの」
さつきは言った。

うそはついていない。跳ね飛ばされたメガネを、社長が見事に踏んでいった。

「今日、会社帰りにメガネ屋さんに行くつもりです」
「その方がいいですよ。困りますものね」

そこに、秘書室の扉が開く。

「おはようございます」
秘書が一斉に立ち上がりあたまを下げる。

「おはよう」
いつもに輪をかけてピリピリムードの社長が、出勤してきた。

社長と目が合う。
心臓が跳ね上がる。

さつきの頭に、自然に顔を寄せた社長が浮かんだ。

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