二十年目の初恋
休日 7

 どんなに仕事が出来ても収入が多くても有名になっても周りからチヤホヤされようとも……。女が一人で生きて行くのは、やっぱり寂しいことなんだと思う。

 愛しい人に愛されて、たまにはケンカしながらでも一緒に生きていける、傍に居てくれる、傍に居られる。それだけで幸せなんだと思う。悠介が私に教えてくれたんだとそう思う。

「優華。出来たよ」
 悠介の声。

「は~い」
 急いでカットソーのワンピを着てキッチンに行った。

 コーヒーと厚切りトーストとハムエッグ。

「ハムエッグは、お得意メニューね。きょうも綺麗に焼けてるよ」

「そうだろう。ハムエッグは俺に任せて。いつでも作ってあげるよ」

「うん。悠介、料理上手なんじゃない ? もっといろんな物、作れそうだよ」

「そうか ? じゃあ、いろいろ作ってみようかな ?」

 もしかしたら私、悠介を乗せるの上手いかも……。遅い朝食を済ませて二人で後片付けもして。

「きょうはどうしようか ?」
 と悠介が聴いた。

「何か予定でもあるの ?」
 と聞き返した。

「特にないけど……。せっかくの日曜日なんだから有意義に過ごしたい」

「明日は仕事なんだから、きょうはゆっくりしたいっていうのも有りだと思うけど」

「そうだけど……。デートしないか ? 三十分で支度出来る ?」

「出来るけど何処へ行くの ?」

「それは行ってから」
 そう言って笑ってる悠介。

 顔を洗ってメイクして、さぁ何を着ようか。デート ? じゃあ、ちょっと女らしいブラウスにスカートスタイルかな ?

「こんな感じでいい ?」
 って聞いたら

「いいね。良く似合うよ。さぁ行こう」

 悠介は休日カジュアル。スーツじゃなくてシャツスタイル。

 運転しながら悠介は楽しそうに何の歌だろう、口ずさんでる。その横顔を見てるだけで私まで楽しくなる。やっぱり悠介は私の一番なんだなぁと思う。

 ところで何処へ行くんだろう ? 悠介の行きたいところなら何処へでも付いて行くけど。
< 100 / 147 >

この作品をシェア

pagetop