二十年目の初恋
お盆休み 7

「悠介に、こんな素敵なお嫁さんが来てくれますよって報告出来たわ」

「さぁ、このまま帰るとお昼になるな。何か食べて帰ろうか?」と父。

「美味しい食事を作ってくれる母さん達に楽をして貰うか?」とおじさん。

「まぁ、それは嬉しいわね」と母。

「何がいいかしらね。優華ちゃん、何か食べたい物ある?」とおばさん。

「私は何でもいいですけど。ねぇ、悠介」

「うん。俺も。父さん達に付き合うから」

 四人の乗った車の後ろから悠介の車で付いて行く。

「昨日から美味しい物を食べてばっかり。しかも作って貰って。いいのかな」

「たまには楽したってバチは当たらないと思うけど」
 やっぱり悠介は優しい。

 お墓参りを済ませたら何だか後はドライブ気分。

「優華とデートしてるみたいだな。前の車が居なかったらだけど」
 悠介笑ってる。

「そんなこと言って、悪いわよ」

「親を蔑ろにはしてないよ。優華のご両親も同じように大切に思ってる」

「悠介と一緒に居られるのは、おじさんとおばさんが居てくれたからだもんね。小さい頃から遊んで貰ったりして大好きだったけど、もっと大切にしないとね」

「今はまだまだ元気だけど、これから十年二十年先もっと歳を取ったら父さん母さん達には俺と優華しかいない。もしも病気にでもなったら優華が大変な思いをするんだな」

「悠介、心配しなくていいよ。私は私なりに頑張るから」

 いつか来る両方の親の介護を思って、ちょっと不安だったのも確かだった。

 父兄を乗せた車がウィンカーを出した。どうやら、お店が決まったらしい。悠介も後を付いて車を駐車場に停めた。お蕎麦屋さんのようだ。

「前に来たんだけど、ご主人が打ったお蕎麦がすごく美味しかったのよ」

 お盆のどこへ行っても混む時期だったけど、まだお昼には少し早かったので六人でも余裕で大きなテーブルに着くことが出来た。まもなくお店は満員御礼状態になったけど……。早めに入って良かった。

「ここは天ぷらが美味しいんだよ」とおじさん。全員が天ざるを注文。

「蕎麦で一杯、飲みたい気分だな」と父。

「いいわよ。私が運転は替わるから」と母。

 ペーパードライバーの私と違って母は普段から運転してるから。

「それじゃ」
 とビールを注文した。おじさんと父で仲良く一本だけ。天ぷらがサクサクで海老がプリプリで、お蕎麦は手打ち。大満足でお店を出た。

 帰りは悠介が前を走って、母の運転するご父兄の車が後ろを付いて来た。

「お母さん、運転慣れてるな」

「そうね。いつも車で買い物とか出掛けてるから」

「優華も練習して乗れるようにしたら?」

「うん。必要になる時が来るよね。練習しようかな。悠介、教えてくれる?」

「仮免許運転中ってプレート付けて走ってみるか?」
 って笑ってる。

 あのう……。もしもし? 私……。一応免許は持ってるんですけど……。
< 132 / 147 >

この作品をシェア

pagetop