二十年目の初恋
愛される資格 2
 悠介が目を覚ました。
「おはよう」
 そのまま、ぎゅっと抱きしめられて

「悠介、苦しいよ」

「ごめん。嬉しくて……。優華を腕に抱いて眠って、目を覚ましても俺の腕の中に居る。こんな日が、ずっと続くんだと思ったら、こんなに幸せでいいんだろうかって」

「私も同じこと考えてたの。幸せ過ぎて怖いくらいなの。悠介の傍に居られて」

「これからずっと一緒だよ。優華が嫌だって言っても離さないから覚悟してろよ」

「嫌なんて言わない。悠介の傍に居たいから」

 悠介が、そっと唇に触れるだけのキスをして……。

「さぁ、起きるぞ。優華の引っ越しだ」

「うん」

 起きたのはいいけれど……。悠介の部屋の冷蔵庫には見事に何も無くて。ビール以外は……。

 私のマンションに行ってから朝食にすることにした。

 厚切りの食パンにスライスチーズとツナとマヨネーズ。オーブントースターでこんがり焼いて、コーヒーを入れて朝食を簡単に済ませて。

「何から始めようか」
 悠介が言った。

「とりあえず身の回りの物を持って行かないとね。洋服とか靴、化粧品。今、使うものを。大家さんに契約の解除をお願いしないといけないし」

「冷蔵庫と洗濯機、電子レンジ、テーブルはどうする?」

「要らないわよね。リサイクルショップに引き取って貰うわ。あとベッドもソファーも、炊飯器とか細かい物もね」

「そうだな。デスクとチェストは必要だろう?」

「そうね。それは引っ越し屋さんに、お願いしないとね。業者さんに電話を入れて見積もりして貰わないと」

 テキパキと片付いて……。

 来週の土曜に引っ越し屋さんが運んでくれる。契約は来週の日曜まで。引っ越し屋さんのダンボールに荷物を詰めて。きょう悠介の車で運ぶ荷物もまとまった。


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