二十年目の初恋
愛される資格 6
「優華、愛してるよ。ずっと。俺は変わらず愛し続ける自信があるから」

「私も愛してる。もう悠介から離れられないの……」

「離す訳ないだろう。優華、俺だけの優華……」

 もっと強く抱きしめられた。悠介の腕の中で幸せだった。

「このままこうしてたら、一日中ベッドから出られないよ。さぁ、優華の引っ越しの続きをしないといけないな」

「誰のせいよ……」
 ちょっと上目遣いに悠介を見た。

「優華のせいだよ」

 人さし指で、おでこをツツカレタ……。

「えっ ? 私なの ? ……何で ?」
 そういうのを言い掛かりって言いませんか ?

「優華が魅力的だから。言っただろう。何度でも抱きたくなる」

「…………」
 そんなこと言われても……私のせい ?

「あぁ、腹減ったなぁ。何か買って来ようか ?」

「ううん。朝、サンドイッチ作ったから」

「えっ ? いつの間に ?」

 ちょっと驚いてる ?

「悠介が、まだ夢見てる間にね。コーヒーは悠介が入れて」

「了解 ! 奥様」

「えっ ? 私、まだ奥様じゃないのに……」

「奥様って呼ばれる練習だよ」

 練習ねぇ……。コーヒーとサンドイッチで、ちょっと遅めの朝食。

「うん。美味い」

 モリモリ食べてくれる男の人って信頼出来る気がする。少食だとか充分細いのにダイエットしてる男。そういう男性が好きだとおっしゃる女性に反論する気もないけど。個人的な趣味の問題だし……。

「たくさん作ったから、しっかり食べてね」

「気が利く奥様で、俺は幸せ者だなぁ」

「どうかなぁ ? 分からないわよ。最悪の奥様になる自信ならあるけど」

「優華なら最悪でも何でもいいよ。一緒に居られるだけで満足だよ」

「そんなこと言って後悔しないでよ。ちゃんと覚えておくからね。悠介」

「さぁ、俺、記憶力には自信がないからなぁ。幼稚園の時、優華にキスしたのも覚えてなかったし」

「そうよね。もしかして女の子みんなにしてたとか ?」

「えっ ? それも覚えてない」

 怪しい……。
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