二十年目の初恋
二十年目の再会 7
「女の子の部屋って感じがするな」

「もう女の子って歳じゃないけどね」

「そんなことないよ。俺にとって優華は永遠の美少女だから」

「バツイチの永遠の美少女なんて聞いたことないよ」

「俺が想うのは自由だろ?」
 そう言って悠介は笑った。

「ところで、どこに連れてってくれるの?」

「そうだな。海でも見に行くか? まだ、そんなに人も多くないだろうし」

「海ね。じゃあ着替えるから待ってて」

 何を着ようか迷ったあげく半袖のカットソーにパーカーをはおってストレートのジーンズ、あとウェッジヒールのスニーカーかな。

「お待たせ。行こう」

「昨夜とイメージが全然違うな……」

「だってあれは、それなりの正装っていうか……。悠介だってスーツじゃない。それで海に行く気?」

「あぁ、俺も着替えるわ。マンション寄るから」

 車で悠介のマンションに寄って

「すぐ着替えて来るから乗って待ってて」

「うん」
 と応えたものの……。

 私のマンションには上がって、悠介のマンションには入れないつもり? 

 まさか……。まだ奥さんが居るとか? そんな訳ないわね。悠介は、そんなつまらない嘘を言う奴じゃない。

「お待たせ。さぁ行くぞ」


 車は走り出した。海に向かって……。

 悠介もTシャツにパーカーをはおってジーンズにスニーカー。

「悠介も昨夜と全然違うね」

「こっちの方が楽でいいけど普段スーツだから」

「広告代理店だったっけ?」

「そう。営業やプレゼンもあるし仕事の時はスーツだから。優華は大学の秘書?」

「うん。副学長秘書。普段はスーツや、きちんとした感じだけど」

「副学長って、オヤジ?」

「ううん。家の副学長は女性だから」

「そうか。良かった」

「なにが?」

「いや。優華がオヤジにセクハラとかされてたら腹立つから」

「バカね。くだらないドラマの見過ぎよ」

「けど実際、裁判沙汰になってるケースだってあるだろ?」

「家の大学は、そんな下品じゃありません」

「それは失礼しました」

 二人で笑った。


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