二十年目の初恋
一日目 7

「優華、寝ちゃうの ?」
 隣りに潜り込んだ悠介が言った。

 目を閉じて眠った振りをしてる私……。

「優華 ?」

 そのまま悠介の声が聞こえなくなって……。そっと目を開けると目の前に悠介。いきなりキスされた。そっと触れるだけのキスから、だんだん深く……。

「優華、愛してる。俺だけの優華。誰にも渡さない」

「悠介、愛してる」



     *



 優華……。俺だけのもの……。さくらいろに染まっていく。優しい息づかいも可愛い声も白い肌も、柔らかな膨らみも……。くびれたウエストがシーツから離れて誰にも見せない、もう一つの顔を俺だけに見せてくれる……。

 愛しくて愛し過ぎて、めちゃめちゃに壊してしまいそうな気もして……。どんなに愛しても足りない……。

「優華、綺麗だよ。すべて俺のものだ」

「悠介、離さないで。私は悠介のものだから……」




 俺の腕の中で閉じた目をそっと開けて、俺の顔を恥ずかしそうに見つめる瞳。思わず、もう一度抱きしめてしまう。

「優華」
 胸に抱いたまま呼んでみる。

「ん ? なに ?」
 顔をあげて上目遣いに俺を見た。

「愛してる。ずっと」
 優華の髪を撫でながら

「知ってるよ。私も愛してるから」
 そう言って微笑む。

「ずっと離さない」
 ウエストに回した腕に力がこもる。

「うん。離れないから」
 優華の瞳が潤んで

「一緒に居ような、ずっと」
 優華のまぶたにキスした。

「悠介の傍に居るよ」

 胸に寄り添ってくる優華を抱きしめた。



 優華……。悠介……。
 二人はそのまま……抱き合ったままで眠りに就いた……。
< 87 / 147 >

この作品をシェア

pagetop