明日の君と
桜咲く頃




この春、やっとの思いで都下にある私大に滑り込むことができた。
バレーボールに必死だった頃は大学進学なんてまるで考えてなかったし、もちろん学生の本分である学業は当たり前のようにおろそかだった。
高三の総体での試合中、着地時にセッターと接触して左膝を過伸展した瞬間に、ボクのバレーボール選手生命は終わってしまったのだけど。
靭帯再建の手術を受け、暫くの入院後、目標を失ってボクはなんとなく日々を過ごしていた。
夏休みが終わって久しぶりに再会したクラスメートたちはすっかり受験モードになっていて、正直気後れを感じた。

「とりあえず、大学受けてみるか」

それから取りかかった受験勉強であったが、世の中そんな甘くなく、親にご苦労願って一浪させてもらい、その末どうにか再び学割の使えるご身分に戻れたわけだ。
私大というだけでお金がかかるのに、更に親にご苦労願って下宿もさせてもらった。

さすがに実家から5時間かけての通学は無理だから。

ボクがいくつか受験せた大学のなかで、受かった大学はここ1校、だがしかし、なぜか受けた中では最難関だった。
それは実力なのかラッキーだったのかわからないが、結果的にOKである。
おかげで、無事卒業できればある程度名の知れた大学卒業となるわけだ。


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