ラブ&ロイド
そして颯が校舎に入ると、二年四組の教室まで颯を追う行列ができる。その中には当然、愛も蛍も葵もいた。

「おはよ~」

人の波にもまれる内に、三人の近くに来ていた。

「お、おはよ…きゃっ!」

廊下が人でごった返すような状況になっても先生達が注意しないのも、颯の影響を観察するという裏事情を私のお父さんから説明されているからだろう。

そして、休み時間。

学校はようやく平穏を取り戻し、人口密度が異常に高くなることはなくなる。

「そうだ!」

突然、愛がパン、と手を叩いた。

「どうしたの?」
「今度の日曜日にさ、皆でどっか行かない?」
「皆って…?」
「私と、蛍と、結と、葵と、あとは颯くん」
「えっ!?」
「ほら、せっかく連絡先とか交換して、プラス席も近いのに、何もしないってもったいなくない?」
「まぁ、確かにそうだけど…」

連絡先を交換してから、私達五人はよく画面上でも実際でも、ある程度颯とは話すようになった。今はそれくらいにしておかないと、他の女子達から恨まれる…そう思っていたのに、愛はさらにワンステップ上を目指そうと言ってきたのだ。

「ん? 結、何か不満?」
「不満ってわけじゃないけど…他の子から避けられそうじゃない? ほら、何ていうか…」
「あ~、分かるかも、それ…」

蛍が首を縦に振る。しかし、愛は語気を強めて続けた。
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