あたし、彼女?



呆然とその光景を見ていた俺の目に彼女がうつりこんで。



はっと思い出した。



こいつ、陽菜の友達の朝霧 紗菜だ。


よく陽菜が
「女の子らしくてすっごい可愛いんだよ!」
みたいなことを言ってた気がする。



………こんな、大人しそうな子でも、あんな声を張り上げるのか。



友達のために。



陽菜のために、



「ありがとな」



向き合った瞬間、出た言葉。


その言葉に、驚いたのか。朝霧は少しだけ目を見開くと、すぐにふわりと笑って



「ううん、聞いてて我慢しきれなかったから。あまりにも陽菜を悪くいうもんだからさ、ついカッとなっちゃって…」



と、照れ臭そうに言った。



「って、それより、飛鳥君。今日、陽菜に呼び出されてんじゃ……」



「あ、やべ……」



そうだった、行かなきゃ。



「んじゃ、俺いくわ」



「ん。頑張って。ちゃんと素直になりなよ~」



「……っ、おう」




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