You…
当然のように、だれもいない。


あたしは、適当にバッグを机の上に置くと、そのまま黒板の前に向かった。

そして、徐ろに白のチョークを握る。


こんなことで、なにかが変わるなんて思っていない。


でも…どうしてだろう。

心のどこかでは、叶ったらいいな…と思っている自分がいる。


“佐野 晃”


あたしは、白のチョークでそう名前を書き…。

それを赤のチョークで囲んだ。
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