強引同期が甘く豹変しました



すると不機嫌そうに眉間にしわを寄せた矢沢は水をゴクゴクと飲み干して。


「失礼なことしたっけ?だと?」


やや苛立った口調で言葉を続ける。



「百歩譲って、あれが酔ってフラついた結果の事故だとしても。いきなり倒れてきた上に人にキスまでしたくせに、おまえは俺に謝りもしないで‘‘ほんと最悪!’’とかって被害者ぶってきただろ」



…そう、だったっけ?



「あーっ、今思い出しても腹立つわー。すいませーん!水、ください」


イライラした様子の矢沢は、テーブル横を通り過ぎようとしていた店員に向かって水が空になったグラスを掲げる。


っていうか私…なんで矢沢にそんなこと言ったんだ?


確かあの時、矢沢と目が合った瞬間に私は慌てて立ち上がって…


………あっ、そうか。

そういうことか。


そうだ……そうだった。

意味がわかった。思い出した。


当時の記憶を必死で辿っていくと、脳内にその瞬間がふと蘇ってきて。

自分がどうしてあんな言葉を口にしたのかを理解できた私はそこでやっと口を開いた。


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