天使のメガネ

‡私の恋人は見えません




「ぐはっ……」


アルスは苦悶の声を上げた。


慌てて私は立ち上がる。

アルスの両腕は、うつ伏せのまま、何故か前方下腹部に隠されている。


「ご、ごめんなさい!大丈夫!?」


私はどうしたら良いか解らず、アルスの肩に触れようとする。


「あっ!さ、触らないでくれ!!」


聞いた事も無い、男性の強い口調を初めて聞いた私は、
余りの張りの強い声に戦慄した。


「……」


黙ってうつ向いたままの私。


小さく、か細い声が聞こえた。
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