Under the ROSE
「姉上は、本当にリュードと結婚されるおつもりですか」

「……何故そのようなことを?」

少し小首を傾げてみせる。

視界の隅に映るレゼッタ姫の不安げな顔を気にしながらも、アルフォンスを正面から捉えた。

「リュードを、愛しておられるのですか」

何故そのような質問をされているのかまったく解らず、セリスはただアルフォンスを見つめた。

「彼が、貴女を愛していなくても?」

「殿下」

セリスはやんわりと、アルフォンスを止める。

「何故そのようなことを? ……リュード様は私を愛してくださっているわ。だから婚約したのです」

「いいえ、違う! 彼は豪胆な男です。姉上を利用して王の座を狙っているのです。貴女を愛しているわけではない!」

「殿下……」

いつも穏やかな義弟が感情を露にする姿に、ただ、驚いた。帝王学で上に立つ者は感情を表してはいけないと学んでいたはずなのに。


ここは何と返せば良いだろうか?

アルフォンスは純粋に姉を心配しているのだろうか?


──毒を盛って殺そうとした人物を?





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