Under the ROSE
激しい音を立ててテーブルの上の花瓶が転げ落ちた。

バシャ、と水が零れ、白い薔薇が黒い大理石の上に散らばる。その上に倒れるアルフォンス。

それを2人の姫は瞬きもせずに眺めていた。

赤に染まる白を。

青い瞳が閉じられる瞬間を。

息をするのも忘れて眺めていた。


どのくらい時間が経ったのか分からない。

一瞬のような、永遠のような、どちらとも感じられる無の時間が東屋を包んでいた。


仰向けに倒れたアルフォンスの指がピクリと動いたのを見て、セリスは駆け寄った。

「殿下!!」

とっさに抱き起こして膝の上に頭を乗せる。

「殿下!! しっかりしてください、殿下!!」

美しい顔にへばり付く鮮血をドレスの袖で拭い、必死に呼びかける。

「殿下!! ──アルフォンス!!」

その声に反応したのか、瞼が僅かに動いた。

「アルフォンス!!」

しかし瞼が開く事はなかった。代わりに、赤く染まった唇が動く。

「……セリス」

初めて名前で呼ばれ、心臓がドクリと動いた。
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