庶民から武士へ
ふぅ…ここまで来ればあの男も追ってはこないだろう。
しかし困った。
ここは一体何処なのか、見るもの聞くのも全てが俺の居た景色と違う。一体何処なのか……

「おぉー…い」

むう?誰だ。声が聞こえた。
見れば向こうに先程の男、ではなく、髪を上の方で括っている女?
誰だろうか、綺麗な人…。
「もし、そなたは先の男に助けられた者ではなかろうか。」
助け?…ああ、さっきの失礼な人か。
「ええ、まぁ」
「やはり、、。いや失礼、俺は《土方歳三》という。一寸付いてきては頂けないだろうか。」
「え。」
いきなり付いて来いというのにも驚いたが、何より名前が衝撃的だった。
土方歳三…?いやいやまさか、ね…。同姓同名の別人だろう。だってここが幕末わけがないし?
タイムスリップとかありえないデショ。

笑い出す俺をみて怪訝そうに眉をひそめる自称土方。

おうおう、折角の美形が台無しだぜィ、旦那ァ。

「無礼を承知だが頼む、付いてきては貰えないだろうかっ」
土方は困っているみたいだ。
でもな、俺も知らない人には付いていくなと、言われてるからなぁ
ちらりと土方をみる。
偉人がこんな小僧に頭を下げるくらいなんだから何か重要な任務なのか。
しょうがない。

「分りました。貴方に付いていきましょう。」
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