大きな小野君。【完結】


―――――――――……


入学して暫く経った頃。


久々に美月と帰ろうと彼女のクラス前に来た私。
美月と廊下で話していて、後ろに下がった拍子にトンっと誰かにぶつかった。
すぐに謝ろうと振り返ろうとした、が。


「ごめんなさ…、痛っ」

「えっ?」


どうやら、その相手は男子生徒で私の髪の毛が彼の制服のボタンに引っ掛かってしまったようだった。
黒いロングのストレート。
私のお気に入り。


綺麗に絡んでしまっている。
絡まった所為で、相手を確認する事が出来ない。



あちゃー。どうしよう。


「今外しますね、ごめんなさい」

「あ、いいッスよ」


そう言うと、彼はそのボタンを突然掴んでぶちっと取った。

するりと落ちた私の髪の毛。
私に無言でボタンを差し出す彼。


私は唖然としながら、それを受け取り初めて彼の顔を見上げた。


< 2 / 40 >

この作品をシェア

pagetop