俺に溺れとけよ
紡も2人を見つけたのか、私達は同時に同じ声を出した。





「デートかな…」

「さぁ…」


ひとりドギマギしている私に対して、紡は首をかしげて声のボリュームを下げる。


もう付き合ったのかな…

そうじゃなかったにしても、2人で初詣に来てるってことはいい感じだってことに変わりはないけど…





「騒いだりするなよな。そっとしといてやれよ」

「わかってる~」


私と紡は気配を消して2人にバレないよう心掛けていたが、凪と健くんは話に夢中なのか私達に気づくことなく参拝を終えると神社を出て行った。




カランッ…

パンパンッ


私達の番になりお金を賽銭箱に入れ手を合わせると、私は目を閉じてお祈りをする。

願い事はたくさんあったけど一番の願いは1つ。




ーー紡が来年の大会で優勝しますように。







「おみくじ引きたい!」

「いいよ」


参拝が済むと近くにあったおみくじを見つけ、私と紡はすぐに食いついて引いてみた





「吉だ」

「小吉」


お互い微妙な結果だった。




「吉の方がまだマシなのかな?」

「多分な」


あんまりおみくじにこだわらないタイプにか、紡はすぐに近くの木の枝に結び始める。

私はしばらくじっくりとおみくじを眺めていたが、それ程悪いことは書いていなくてホッとしながら木に結びつけた。





「あけましたー!」

「おめでとう~」


突然周りからそんな歓声が飛び交い、びっくりしながらスマホを見ると時刻はちょうど12時。





「あけおめっ!」


すぐに紡に新年の挨拶を。

好きな人とこうやって新年を迎えるなんて…すごく嬉しい。





「今年もよろしくな」

「うん、よろしくね!」


紡と笑顔を向け合う。

こうやってずっと2人でいれたらいいな…




「おしること甘酒配ってるけど行く?」

「うん!」


私達は手をつないでテントの方へ向かう。

その夜はかなり夜ふかししちゃったけど…素敵な日になった。



この日のおみくじの結果を私はちゃんと覚えている。

紡は占いを信じないって言ってたけど…私はやっぱり信じちゃうよ…



紡ごめんね。

この時のおみくじがあの日のことを案じてたって、もっと早く気づけばよかった…
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