俺に溺れとけよ
「そんなことないよ!買っても同じくらい嬉しいよ!私も蒼井くんから貰ったケーキすごく嬉しかったもん!あとこれもね」


私はポケットからスマホを出して、誕生日に蒼井くんがくれたストラップを見せた。





「貰って早速付けて大事にしてるんだ」

「知ってる。あげた次の日に付けてるの見た」

「え…」


さり気なく見ててくれたんだ…全然気づかなったけど嬉しいな。




「つ、次は誰が誕生日なのかな」

「確か部長と涼は同じ月の誕生日で2月だった気がする」

「そうなんだ。またみんなでお祝いしなくちゃね」

「またお祝いか…俺達は誕生日近いペアがそれぞれいて助かるよ」


蒼井くんの言葉にクスクス笑う。

恥ずかしくなったり笑ったり…蒼井くんと話してると本当に楽しいな。






キキッ…


すると自転車のブレーキ音がしてふと振り返ると、乗っていたのは健くんだった。後ろには凪も乗っている。



凪…

私は蒼井くんから少し離れた。何となく…凪には見られたくなかったから。

2人は自転車を降りると私達に近づいて来る。





「健と凪じゃん。どうした?」

「…スポーツクラブのプール行ってた」

「あれからまだ泳いでたのか。すげえな…腹減らないの?」

「減った…」


蒼井くんと健が話してる最中、凪をちらっと見ると私から目をそらしている。

私達が2人きりでいるの見たら当然だよね。凪も蒼井くんのこと好きなんだもん…嫌な気分になるよ。





「2人は何してたの?もしかして学校のプールの帰りとか?そろそろ汚くなるぞ」

「違う違う。水野が俺んちで晩飯食ってその帰りだよ」


正直凪の前で言って欲しくなかった言葉。

胸が痛いよ…凪の顔も見れない…


私だけ凪を裏切ってるみたいだ。影でコソコソ蒼井くんにアタックしてるみたい…

お互いにいいライバルだって話してるけど…でもやっぱり……ライバルが友達になんてなれないのかな。
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