俺に溺れとけよ
「付き合い長いの?凪とは中学から一緒だって聞いたけど…」

「凪とはな。健とも中学からだけど、幼稚園から習ってたスイミングが一緒だったんだ」

「あ、そうなんだ」


じゃあ相当長い付き合いだね。仲いいはずだよ…





「だから嫌でもお互いのことわかっちゃうんだよな…あいつが凪のこと好きだってこと…ちゃんと聞いた訳じゃないけどわかるし………やべ。勢いで言っちゃったけどこれ内緒ね」

「ふふ、それ知ってるよ。健くん本人から聞いたもん。私が健くんと話してた内容はほぼ凪のことだよ」

「え、そーなの?」

「うん!」


私がクスクス笑うと、蒼井くんは「なんだよ…」と言って自分の髪をクシャっと触った。




「さすがに幼馴染みでもそこまではわからなかったんだね♪」

「そうだな。大抵のことはわかってるはずだったのに… 」


海辺にゆったりとした時間が流れ、今までの悩みや胸のつっかえていたものが取れていくように感じる。





「水野の事もこれから少しずつ知っていきたいな」


私の方を見て微笑む蒼井くんに「私も」と顔を赤らめて頷く。




「水野の短所はまだ見つからないからな。これからどんどん探っていかないと」

「ちょ、嫌だよ~」

「アハハハ」


私達の笑い声は波の音にかき消されることのないくらい、海辺に響き渡っていた。




「少しだけ海に入ろうか」

「うん」


私と蒼井くんはローファーと靴下を脱いで海に入った。






「冷たっ…」

「水野見て」

「え?」


海に走だけ入りながら空を見上げると、オレンジ色の夕日が真正面に見える。





「綺麗…」


夕日に見とれていると蒼井くんが私の手をそっと握る。私は一瞬戸惑ったがその手を握り返すと、蒼井くんは優しい顔をしてくれた。

そんな私達を見ていたのは夕日だけで、2人の秘密の空間にいるような気持ちになりドキドキした…
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