隣り合わせ
日差しが当たらないベンチで腰を下ろした。
まるで…。
傍から見たら?
恋人か兄弟。
それとも夫婦かな?
「木下さんよく来るの?」
弁当を頬張っている俺に、尋ねる原田さん。
「始めてです!チャリで公園の脇道を通るだけです。」
横にいる原田さんは、少年がサッカーを練習している光景を見ながら、微笑んでる。
「いい所だね…。」
「そうですよね!」
たわいもない会話だけど、嬉しかった。
この町に越してきた原田さんは、俺を頼ってくれた。
『かんちゃん』がいるのに。
『かんちゃん』ではなく。
寝言で口にした名前。
本当に?
その人が旦那さんなのか?
ヤッベー!
なに考えてんだ?
しっかりしろ!
今は、そう言い聞かせる事で、精一杯だった。