隣り合わせ

日差しが当たらないベンチで腰を下ろした。


まるで…。


傍から見たら?


恋人か兄弟。

それとも夫婦かな?


「木下さんよく来るの?」

弁当を頬張っている俺に、尋ねる原田さん。


「始めてです!チャリで公園の脇道を通るだけです。」


横にいる原田さんは、少年がサッカーを練習している光景を見ながら、微笑んでる。


「いい所だね…。」


「そうですよね!」


たわいもない会話だけど、嬉しかった。


この町に越してきた原田さんは、俺を頼ってくれた。


『かんちゃん』がいるのに。


『かんちゃん』ではなく。


寝言で口にした名前。


本当に?


その人が旦那さんなのか?


ヤッベー!


なに考えてんだ?



しっかりしろ!



今は、そう言い聞かせる事で、精一杯だった。

< 89 / 203 >

この作品をシェア

pagetop