きみが望めば
「振り向かせてみせる。僕はそうも言った。覚えてるよ。」
「ぁ、、あ、」
ぁー、、きまずい。
勢いよく振り返ってしまったあたし。

「今みたいに、くすっ、僕に振り向いてくれたらいいんだけど。」
あたしは慌ててまた窓に向き直った。
ぎゅっと窓の縁飾りを握り、押し開けた。

顔をなでる風が心地いい。

「気持ちのいい風だね。」
アル王子が横に立ち、窓の外を見る。

ここはお城のどこかの塔の上の方だった。たぶん。階段がやけに長かったから。

ラファは、登って来られないかな。。?

そっと肩に手が置かれた。
「冷えてしまわないように、夜風はほどほどにね。」

その手はここに連れてきた時のように強引ではなかった。思わず見上げてしまった。



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