きみが望めば
28.あたしの王子さま
金色の月に浮かぶ黒い影、
背中に金色の翼を広げて、、
金色の瞳が鋭く光って、、


あたしは口元を押さえた。
喉元に叫びたい想いが押し上げてきていた。

ーーーそんなっ、、!!



振り仰ぐアル王子。
王子の身体も一瞬動きを止めたようだった。
「き、、っさま!」

アル王子がブルーの手綱を思い切り引いた。
ブルーの前脚が高く蹴り上げられる。
「だめーっ!!」
それより一瞬早く、黒い塊が馬上に降りてきた。

「リノ姫っ!」


身体が宙に浮かんだ。。


目を開けたら、、

「大丈夫か?」
そこに見つけた顔に心底ほっとした。
金色の優しい光が注がれる。

しっかりとあたしを抱きしめてくれているのは燃えるような緋色の髪と金色の瞳のラファだった。

ラファはあたしをアル王子から奪い、彼らから離れたところに降り立っていた。
ぎゅっとラファの胸を掴んだ。

もう離れない。。


「怪我してるのに、どうして出てきたの。。あたし、ラファに無事でいてほし、くて、、っ」
涙声になってた。

「莉乃の祈りのおかげだ。あっという間に身体が軽くなった!」
金色の翼がばさりと広がり、一気に飛び上がった。翼はラファの背中から出ているように見えた。
『全く、人使いがアラいのよー!』
小鳥さんの嘆きが聞こえた気がした。

「待て!姫を離せ!」

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