きみが望めば
9.輝くお城
ファンファーレが鳴り響き、道行く人たちが騎乗の、あたしの後ろへと手を振ってくる。
「さぁ、着いたよ。我が城へようこそ。」
アル王子が耳元で囁くように言う。

白馬の王子に美しいお城、夢の国かもしれない。だけど今のあたしには、、
仕方なく預けていた身体をアル王子の胸から何とか引き起こした。もう白馬の歩みはゆっくりになり、なんとか自分ひとりでも蔵を掴んでいれば身体を支えていられそうだった。

「つれないね。」
背後でアル王子がふっと笑うのを感じる。

「ほんとに、あたしじゃないからね。あなたのお姫様はあたしの妹で、これは間違いで、」
「そんな強情なところもいいさ。振り向かせてみせる。」

全く耳を貸さない!
「だからー!」
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