Soul Lovers2~あなたの笑顔を守りたくて~



事務所に内緒での活動で、バレたらヤバイって自覚があった。



竜也は「何かあったら連絡しろ」と言ってくれてたけど、あいつに迷惑をかけるわけにはいかない。



騒ぎにはしたくないと、歯を食い縛って諦めようとしたとき、



骨と骨がぶつかり合って軋むみたいな、強烈な音がして、そいつがぶっ飛んだ。



俺たちの間に割り込むようにやって来たマッシーさんが、そいつの顎を渾身の力で殴ったんだ。



「パクりとか、ダセーことしてんじゃねーぞ。このハゲ!」



そう言って、いつもそいつが被っているニューエラのニット帽を奪い取った。



ニットの下は、マッシーさんが言う通り禿げていて、可笑しくて吹き出す。



そいつは顔を真っ赤にして、逃げるようにコーギーを出た。



「ありがとうございます」



お礼を言うと、マッシーさんは何でもない顔で、



「こんな最高にイケてる曲を、あいつのダセーラップでなんか聞きたくねーよ。この曲は、七倉!どっから、どう聞いても、お前のもんだ」



マッシーさんの言葉は、ドスッとストレートに心に響いて。



この世で最高の勲章を貰ったみたいな、誇らしい気持ちになった。



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