Soul Lovers2~あなたの笑顔を守りたくて~



頭に思い描くのは、圧倒的な力を放つ眼差しで前を見据える七倉さん。



そこに立っているだけで、他を圧倒する目力。



一目会った、その瞬間に、きっと私は恋に落ちていたんだ。



強く、揺るぎなく、綺麗なあの人に。


走りながら、鞄からスマホを取り出して耳に当てる。



七倉さんは、1コール目ですぐに電話に出た。



『雛子ちゃん?』



名前を呼ばれただけで、胸がきゅっと締め付けられる。



『こんな時間に珍しいね。どうしたの?』



何気ない言葉だって、七倉さんの綺麗な声で紡がれると、まるでラブソングの小節みたい。



そんなことを考えながら、問いかける。



「今、どこですか?」



『どこって、渋谷だよ』



「行きます!」



『え?』



いつも穏やかで、揺るがない七倉さんの声が、揺れた。



「今から行くので、待っててください!」



一方的に伝えると、スマホを鞄に入れて、全速力で駅へと走った。




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