君が好き~16歳ママの恋~
うん、こういう時って、時間すぎるの遅いんだよね。


早く過ぎてほしい時ほど、時計は意地悪するみたいにゆっくりと進んでいく。


終了のチャイムと同時に、教室を出た。


早く帰らなきゃ。


今はお母さんに任せてるけど、お母さんもこれから会社に行かなきゃって言ってたし。


なによりも、夢羽に早く会いたい。


「藤咲」


靴を履き替えてると、呼び止められた。


あ、橘日向だ。


うわ、絶対あの事だろーなー。


周りを見ても、まだ誰もいない。


早すぎたみたいだね。


「少し、話せるか?」


「急いでるから」


「少しでいいんだ」


何なの?強引な人、苦手なんだけど。


まあ、どうでもいいか。


どうせ、すぐに退学させられるんだし。


「分かった。誰も見てないところなら」


誰かに聞かれるわけにはいかないよね。


お父さんのイメージダウンも避けたいし。


恩を仇で返すようなマネ、できない。


でも、校内で誰もいないところって、限られてる。


校舎裏か。


ありきたりだなー。

まあいいや。

早く終わらせよう。


夢羽が待ってる。
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