秘密のカレはV(ヴィジュアル)系
(つまらないことを考えるのはやめよう…)



今はただ、目的に向かって頑張るだけ。



「ふ、ふみや…
私、モンブランにするわ。」

「そう?じゃあ、僕も同じものにするよ。」

傍目から見たら、私達は仲の良い恋人同士…?
それとも、夫婦にでも見えているのだろうか?



藤堂さんは本当に良い人だ。
一緒にいて楽しいし、信頼も出来る。
なのに、まだ私の心の中には瑠威の存在が大きく根付いていて、彼を忘れることなんて出来ないと、もう一人の私が駄々をこねている。
別れたくないと泣きわめいている。



理性がなんとかそれを制してはいるけれど…
私は自分でも思ってなかったほど、瑠威のことを深く愛していたようだ。



そうじゃなきゃ、こんな思い切ったこと、きっと出来なかった。
人を騙すとか裏切るとか傷付けるとか…
私はそういうことが大嫌いだったはずなのに、今の私はそのすべてをやっている。



(そう…私は瑠威のためならなんだって出来るんだから…)



そう思った時、瑠威の明るい笑顔が頭に浮かんだ。
笑うと途端に屈託のない少年のような顔になる。
瞳がキラキラ輝いて…


あんな笑顔を独り占めできるのはあと少しだけ…



そう…あと少し…
あと少しで、瑠威の夢が叶うんだから…
私は瑠威の邪魔をしちゃいけない…



(瑠威……)



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