captivate
立ち尽くすクリスの前に皇帝が膝をつく。


「この時をお待ちしてました」


「…」


その身体から出る闇の波動が、クリス自身なのか、軍神とまで謳われた古の皇帝なのか、判断を難解なものにする。


ただ、周囲に倒れる仲間達のの中に凜と立つ、闇に包まれた姿は、死神を感じさせる姿だった。


「…ク…リス」


死神の胸に抱かれた魔女が呟いた。


「まだ生きていたか。生贄の分際で…」


現皇帝が漆黒の剣を手にする。


「閣下。この下等種族を処理致しましょう…どうぞその女をお離し下さい」


皇帝の言葉に従い、抱いていた魔女を目の前に静かに寝かせる。


寝かせたのを見届けた皇帝は黒剣を握りしめながら立ち上がり、大きく振りかぶった。


「また一人魔女を狩り、死体を捧げ、完全なる“闇系譜”を得よう」


口元が笑みで気持ち悪い程に歪み、皇帝は剣を振り下ろした。
< 49 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop