captivate
第1章 聖蓮祭
ヨーツンヘイム王国、王都ミストラル。


季節は春。


柔らかな陽射しが国を照らし、穏やかな毎日が続く。


それでも夜は少し肌寒く、まだ冬の名残がある様に錯覚させる。


今日は年に一度の聖蓮祭。


祭りのゲストとして、宮殿にはかつての大戦で同盟を結んだ北や中央の大陸の諸国、そして、かつては敵であったが、現在では交流を持つ南の大国の、政界の大物やトップが王宮に呼ばれている。


というのも、この祭りが遥か昔の大戦の終戦記念式典と同時に、王国建国記念式典でもあるためだ。


その為に、夜といえども王都は大勢の国民と観光客で賑わいを見せ、数多くの出店が人々の活気をより一層高めていた。


王宮の背景には大きな花火が上がり、また多くの人が大きな歓声を上げた。


そんな今宵は騎士団が王都の整備と国境警備に明け暮れている。


周りを見渡す限り人ばかり。


市中に配備された騎士団の任務は通行管理や、迷子の保護、道案内など、王国警護とは掛け離れてはいるが、騎士たちは国を想っての仕事に就いていた。
< 5 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop