【完】好きって言ったら、



「桐生くん」



帰れないと言ったのはわたしだけど、やっぱり話せないのは寂しいと思い、もう少し話したいという意味も込めて桐生くんの名前を呼んだ。



もちろん彼は無視だ。



「き……」



「うざい。どっか行って」



「っ」



もう一度名前を呼ぼうとしたわたしの声をかき消すように、桐生くんの低くて冷たい声がわたしの耳に届いた。




「早くどっか行けよ」



「ご、ごめん……っ」




違った。ダメだったんだ。



桐生くんに好かれてる自信なんて最初から願っちゃダメだった。



ただそばに居られるだけでよかったのに。


一緒にいれるたびもっともっとって欲張った。



それがダメだった。



———完全に嫌われた。






.

.
:
*




< 25 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop