あなたにキスの花束を
***





ねえ、王子。
あなたの声は確かに耳にとても心地良いのですが、そんなに笑わなくてもいいと思うんですよ。

身体を折って、眦に涙まで浮かべて、彼は爆笑中だ。
笑い上戸なんですね。

有名絵画のムンクの叫びみたいな顔になりながら、私はそんな事を考えていた。

ようやく笑いを収めた彼が、目の端に溜まる笑い涙を指で拭う。
それから、しゃがみ込む私に目線の高さを合わせるように、彼もまた私の目の前に膝を抱えてしゃがみ込んできた。

情けない表情の私を、どこか悪戯気な様子で覗き込んでくる。



「改めまして、いつもお世話になってます、橘さん」

「こちらこそ、いつもありがとうございます、片桐さん」



私の台詞がすっかり棒読みになっているのはお察しの通りだ。

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