エリート上司に翻弄されてます!




「この資料コピーし終えたら休む予定だったんです」

「ふーん?」

「何ですか?」

「いや、自分の後輩が真面目で嬉しく思ってるんだよ」


彼、乾先輩は何故か自慢げに腕を組んでうんうんと頷いた。
これは褒められているのだろうか。それは嬉しいのだがこの人に言われるとなかなか素直に喜べない。

どんな表情をしようか迷っていると乾先輩の同期である水川先輩がニヤニヤとした表情でこちらに寄ってきた。


「乾は綾瀬さんが大好きだからなー」

「そうだぞ、こんなに美しい俺に好かれてることを光栄に思うんだな」

「これに好かれて嬉しいと思います?」

「ごめん、思わなかった」


この人のナルシストは病気じゃないだろうか。私と水川先輩は痛いポーズを取る乾先輩のことを冷めた目で見つめた。
そして水川先輩は「ま、まぁ」と、


「俺は2人のやり取り好きだよ、俺は。兄妹みたいで」

「おお、それもいいな。妹想いな俺もそれでいて輝いている」

「こんな兄だけは死んでも嫌ですねー」


何だと!?、と声を挙げた乾先輩と同時にコピーしていた資料が出来上がった。



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