エリート上司に翻弄されてます!




私はその2人の言葉を流しながら昨日の夜のことを思い出す。
それは私たちが2人で旅行の準備をしているときのことだった。


「先輩、それ全部持っていくつもりですか」

「ん?そうだけど?」


何で?、とケロッと私のことを見た彼。
その手に持っているのはどう考えても加湿器だった。


「旅行に加湿器なんて必要ないでしょ!」

「泊まる部屋の空気が乾燥していたらどうするんだ!俺の喉が乾燥して美声が出なくなるし、それより肌の荒れ具合が天と地の差があるんだからな!」

「1日ぐらい我慢してください!」


もう既に彼の鞄は旅行に必要のない美容グッズで溢れ帰っている。
旅行を楽しみにしていることは大いに分かるのだがどう考えても旅行の邪魔になるものばかり。

正直言って目障りなのだ。


「そういう深桜ちゃんは準備終わったの?」

「当たり前です!必要最低限な物で揃えました」

「わー、そんな小さい鞄で収まるんだ」


それはそれでどうなの?、と言われてハッとする。
確かに旅行に持っていく荷物がここまで少ないのも女子としてどうなのだろうか。

……ボディークリームぐらいは持って行こうかな。


「楽しみだね、深桜ちゃん」

「っ……」




< 220 / 343 >

この作品をシェア

pagetop