そこには、君が







「…え、っと」







「やば。大和くんだと思って出ちゃったし」








目の前の女の子は、


焦った顔をしながら笑っている。


この状況、何。


ていうか、何で。








「明香?」





そこへ。





「…何してんの」




部屋着に着替えていて、


きっとコンビニ帰りの


大和が袋を片手に立っている。


何してんの、大和。


自分いないのに、


女の子を中で待たせるなんて。


ていうか、この人誰なの。


そんなことが、グルグル頭の中を回る。








「あ、大和くんだぁ!おかえり!」







「…誰、お前。人ん家で何してんの」







「遊びに来たら、お母さん?が丁度お出かけする所でね。約束してるって言ったら、中に入れてくれて…」







…そういうことか。


状況が掴めた時。


大和は冷たい目で見ながら。








「勝手に入んな、気持ち悪ぃ。消えろよ、ブス」







そう言って、靴も履かせないまま


外に引っ張り出すと。


彼女の持ち物らしき鞄や上着を、


適当に外に放り投げる。









「ひどいよ!大和く…、」







「名前も呼ぶな。てめぇなんか知らねぇよ」








ドアを閉めると同時に、


私の腕を引いて中へ入っていく。


あ、私は許されるんだ。


そう思ったのも一瞬。


さっきの女の子の香水の匂いが、


やけに鼻についた。








「大和ママ、連絡つかないって言ってたよ」






大和は私を入れたくせに、


何も話さず言葉もくれない。


もっと言うなら顔さえ見ない。








「私、ご飯の準備して帰るから」







何も言わない大和を無視して、


私は冷蔵庫を開けた。


中にはママさんが作ったものが、


タッパーに入れておいてある。


これぐらい自分でしてよね、


なんて内心思いながら


お皿に移していく。


この量は、きっと私も食べるという、


初めからこの図を想像して


作ったものだ。


電子レンジで温めるものはレンジは。


それ以外は机の上に出し、


帰るために鞄を肩にかける。






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