そこには、君が

さん





連休を挟んで休み明け。


教室近くで叫ぶ、凛の声。






「明香~!」




大和と京也と歩きつつ、


振り返って凛の存在を捉える。


凛は嬉しそうに笑いながら、


私に飛びついた。






「朝から元気な奴」





「凛ちゃん、いいことあった?」





事情を知らない大和と京也は、


不思議そうに凛を見つめる。


私はあの日の夜のことを、


2人には話していない。






「えっ、分かる?」





「分かるだろ。顔見りゃ」





「超絶にんまりしてる」






やばい、と凛は顔を覆う。


私は今すぐにでも、


ここを抜け出したかった。


なぜだろう。


いつもなら、何でも話せた2人なのに。


あの日の彼のことは、


なぜだか言えない。






「で、どうしたの?」




そう尋ねると。





「春太さんから誘われたの!」





「本当?ご飯とか?」





「そう!週末!」





だからそんなに嬉しそうな


顔してるんだ。


なるほど、なんて、


肩を下した時。






「明香は?あの後、どうなった?」






恐れていた事態になり。


大和と京也の視線が、


私に注がれた。






「や、あの後…は…」





「何?あの後って」





「隠し事はよくないよ、明香さん?」






分かってる。


分かってるんだけど。






「ま、いいわ。また帰り」





「ちゃんと教えてね。明香さん」




クラスの違う私と2人は、


少し気まずい空気を残して


それぞれの教室へ入って行った。







< 20 / 325 >

この作品をシェア

pagetop