そこには、君が






「あっ、ん…大和、奥がっ…んぁ、」





「明香っ…くっ、」





大和の気持ち良さそうな顔が見えて、


訳の分からない涙が出た。


鼻の奥が、もう痛い。


愛しい。


それだけで満たされている。


こんなに好きなんだ。


大好きなんだ。






「好きっ…大好き、」






今伝えたくて出た言葉を受け止めているのか、


大和はうんと言いながら動き続ける。


そして、大和と同じ瞬間に、


私も絶頂に達した。


苦しそうに溢す大和の声が、


何とも愛しくて仕方なかった。


それから覚えているのは、


横に寝転んだ大和が、


いっぱいキスをしてくれたこと。


そして大きな腕の中で抱きしめてくれたこと。


気付いたら眠りについていて、


起きたのはそれから2時間後のことだった。







「んんっ…!寝ちゃった…!」






急いで体を起こそうと力を入れるが、


なんか体に違和感を感じて重い。







「寝顔緩いな相変わらず」





そんな声が後ろから聞こえてきて、


どこにいるのか思えば、


私の横に寝転んでいたようだ。


なんだ、と私も体を倒し、


大和の横に寝転がる。






「体、大丈夫か?」





「うん、全然余裕です」





強がって見せたが大和にはバレていて、


ばかじゃねえのなんて悪態をつかれる。


その点、大和は余裕そうだなって、


思っていると、さっきの嫉妬が蘇る。






「今まで、何とも思わなかったのにさ」






「ん?」






「大和が違う人抱いてたんだなって思うと、おかしく、なりそうです」






口にするつもりはなかったものの、


言い出したら止まらなくなって、


全部言ってしまった。


こっちは嫌味で言っているのに、


効いていないのか大和は急に笑い出し、


心臓を抑え始めた。






「何、笑って…っ、」





「お前といると心臓持たねえわ」





くくくっ…と笑いながら、


私の髪を乱暴に撫でると、


大丈夫と言った。







「お前がどう思おうと勝手だけど、初めて幸せって知った」





「…私として、幸せだったの?」





「もう一回抱きたいなんて、思ってるくらい」






大和の初めてが、


1つでも残っていた。


私はそれだけでもう満足だ。







「ちなみにしたの、お前だけ」






「えっ、本当?」






「本当。疑うなら好きにどうぞ」






疑うも何も。


そんなの急に言われても、


信じられない。






「もう、他の人とは…」






「するわけねえだろ。ばかなこと言ってると、もっかい壊すぞ?」






そう言って意地悪な目をした大和は、


私の被っている布団を取ろうとしてくる。


このやり取りですら、甘い。


もう居心地の良さに酔いしれて、


このまま時間が止まればいいのにって、


そう思ってしまったくらいだ。







< 258 / 325 >

この作品をシェア

pagetop