そこには、君が







「何でだろう、壊したくなくて」




「壊す?」




「だって明香ちゃん、言ってたから」





徹平さんの、一挙一動に、


私の全身が集中する。


もう彼をとらえて、


離せない。






「ここに来る人に、支えられてるって」





そう言われて、


徹平さんが家に来てくれた


日のことを思い出す。


そうだ、そういえば。


私、ここに来ている人を、


好きだって教えちゃってたんだ。





「確かに、言いました…ね」





急に恥ずかしくなって、


私は顔を背ける。


どうしよう、これじゃあ。


あなたが好きですと、


言ったのと同じだ。





「でも来てくれてありがとう」





そう言う徹平さんは、


私に笑ってくれている。


その笑顔を見て、


ここに来るまでを思い出す。


私は今日まで、


ここに来るまで、


本当に助けられた。


それと並行する形で、


徹平さんとも色々あった。


もう現れない、と。


ばいばいをしたはずの彼が、


屈託のない笑顔で私の前にいる。






「もう現れないって…言ったのに」





気付かないフリをして。


それでも忘れられなかった。


徹平さんが私に、


さようならを言った時のことを。


もう会えないんだ、と。


理解のあるフリをして、


出来ていなかった。






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